ボーマンダの曲射

社会人が綴る日常の中の非日常

【ゲーム感想・評価】蒼の彼方のフォーリズム

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2014年末にspriteから発売されたいわゆるエロゲ

今期からアニメも始まるし、以前に萌えゲーアワードをとってるし、絵がきれいだしという話題作なので前々から興味あってついにこの正月にプレイしてみた。

オタクきもいですね。



【ゲーム概要】
フライングサーカス(通称FC)と呼ばれる架空のスポーツを描いた物語。簡単に言えば空を飛べる靴を履いて決められた地点や相手の背中にタッチして多くの点数を稼いだほうの勝ち、というもの。このスポーツで挫折を味わった主人公たちがヒロインのコーチをしていく、というもの。

このゲームの一つの特徴としては主人公はあくまで影役に徹すること。挫折から空を飛べなくなった主人公はあるきっかけからヒロインたちを強くしようとする。



【評価】
まず僕個人としてこのゲームに100点満点で点数をつけるとしたら85~90ぐらいをつけます。これについては詳しく感想のほうでも言いますので、以下に詳しい評価

・音楽
OPである川田まみの歌う『Wings of Courage ~空を超えて~』はゲームプレイ前からすごく好きな曲だった。もちろんプレイ後のほうがより好きになれたが
BGMについても随所にOPのアレンジやらそうでなくてもかっこいいBGMやらを持ってきてて概ねよかったように思えた。

・グラフィック
これについては文句なし。前作の恋と選挙とチョコレートもそうだったがこのメーカーは絵がとても丁寧でかわいい女の子を描くと思う。
かわいさだけでなく、いわゆる人間の怖さみたいなのもCGで表現できていた。

・演出
これもとても良かった。動きの激しいFCという競技において映像を用いないエロゲでどうやって表現するのかと思ったが、絵と文章、そして音声でしっかり表現できてたと思う。
何か案があるわけではないが、これ以外の表現で描くFCというのも見てみたい気がする。

・世界観
架空のスポーツを題材、というのはとても難しいし矛盾だらけになりそうだな~と思ってたがそんなこともなかった。ルールから戦術まできっちり練られていたと思う。

・シナリオ
割と王道。だが王道でも題材は架空のスポーツ、そこはきっちり楽しめる。
ただ、シナリオという点だけに注目した時、手放してすごいストーリーだと褒めることができるかと聞かれたら難しい。
いわゆる伏線を張りまくって~といった田中ロミオ氏みたいなストーリーは期待しないほうが良い。

・キャラクター
グラフィックがグラフィックなんでとてもかわいいですよ。声優も僕は好きな人がけっこう多い。
ただ、僕はちょっと好きになれなかったヒロインがいますね。
でも鳶沢みさきちゃんとてもかわいい!!!!!!!!!!!
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【感想】
まず上で述べた点数についての話です。
評価のところではシナリオとキャラ以外はほぼプラスの評価しかしてないが、それだけだとせいぜい70点どまり。
車輪の国、向日葵の少女のような最後に伏線回収しての大どんでん返しみたいなのはなく、普通にプレイしていたら気づくようなものばかり。
White Album2のようなヒロインの心情をきっちり描ききっての感動みたいな完成度の高さもない。
じゃあなぜこんなに評価を高くしたのか?それは・・・

熱い展開が繰り広げられるから

は?と思われる人もいるかと思うけれど、僕は基本的にこういう展開がとても好きだ。
端的に言ってしまえばスポ根もの。

すごい曖昧な表現してしまうと、車輪は体は冷めてるのに最後にどこからきたか分からない熱量が一気に体に押し寄せてくる感じ。
このゲームは徐々に熱量が自分の中にこもっていって最後にはすごい体温が上がってる、そんな感じ。


《以下、ネタバレ感想なのでこれからプレイしようと思ってる人、アニメを見ようと思ってる人は回避推奨です》


例えば鳶沢みさきルート。

彼女はメインヒロインの明日香に対して劣等感を抱き挫折。「挫折」はこの作品通して割と重要な主題の一つ
で、その挫折したみさきは実は主人公を挫折させてて…という理由から主人公はみさきを空に届けたら自分も戻れるのでは?といった感じで個人的にコーチをすることに(そんなに軽い展開じゃないけど)
自分と同じ目に合わせたくないから、自分の気持ちにしっかり向き合わせたいから、と主人公とみさきがお互い信頼しあって明日香を倒そうとする。この時点で既に熱い

さらにFCにおいて革新的な戦略にどう理解するか、どう戦っていくか、そしてその戦略をどうものにするか、この展開も熱い。

そして最後に秋の大会でお互い強くなったみさきと明日香は決勝でぶつかり、見事みさきが勝利する。
負けることに恐れながらも自分が勝ちたいという気持ちが最も重要なんじゃないかと思い、空に届けてくれた主人公に感謝するみさき。
挫折を乗り越えて復活したみさきへの嫉妬みたいなもので押し潰されそうになりながらも本当に自分がしたかったことはみさきを空に届けることだったんだと気付き、さらにみさきの考えも理解して、自分も過去を乗り越え復活する主人公。

ベタだけど、燃える展開。そしてヒロインはかわいい。

反面、みさき√は人間の負の部分を描いたのに対して、明日香√は正の部分を描いてる。
これはこれで物語としてとてもきれい(ボキャ貧)

でも僕は人間は負の面があってこそだと思うし、それを描きつつ熱い展開でプレイヤーの心をうつみさき√のほうが好きだった。
もちろんキャラが自分に合ったかという違いはあるかもしれないけれどw
それにみさきちの話のほうがFCの戦略性とかが楽しめる。

一応、推奨攻略順は明日香の後にみさきやったほうがいいです。あくまで推奨だし、個人の意見だけど

突き詰めるとどこでどう転んでどういう心情で主人公とみさきがお互い好きになったのかいまいち分かりにくい。
恋愛ゲームなんだからそういう心情の軌跡をないがしろにしていいわけはない。

でも、そういう面をなにもかも飲み込んでしまうような熱量がこの作品にはある。

自分はそう思ってる。




過去の名作と呼ばれる作品。車輪のようにプレイヤーをあっと言わせる伏線回収。key作品のように人間的な部分に訴えかけてきて感動を誘う作品。Fateのように熱いだけど、その世界観と悪に立ち向かうという面で別の熱を持った作品。
このように名作は数多くあるけれど、スポーツをする女の子とそれを支える主人公という構図を持つスポ根青春ものには初めて出会って、大きな衝撃を受けた。

上に書いたような名作には及ばないかもしれない。
でも爽やかさとこの熱量を同時に持った作品は初めてだったし、素直に面白いと思えたからこそ、僕は他人に勧めるとしたらこの作品をオススメしたい。



アニメはどう転ぶか分からない。面白いかもしれないし、面白くないかもしれない。

でも空に憧れた少年少女たちがそれを目指す物語、ときてこれ以上に映像媒体に適した作品もないだろう。

しかも設定は緻密、恐らくアニメでやるであろうメインヒロインの明日香√も十分に面白い。(僕はみさきが好きだったからみさき√を例に挙げたが)

もしかしたら久しぶりに美少女ゲーム原作で面白いアニメが見れるかもしれない、と期待をしつつ今期を楽しみにしていきたいと思う。

近々Vita版も発売されるので気になった方は是非

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P.S.
頼むからFD出してくれ!!みさきちかわいい!!!!!

っていうのは3割ぐらい冗談として真面目な話、敵役の掘り下げた話とか白瀬さんの過去話とかやってほしい題材がたくさんある。

本編をぶち壊すようなテキトーな気持ちで出すFDならいらないが、過去の名作を見てもこんにゃくやらそれこそ車輪(こいつ車輪引き合いに出しすぎやろ)やら良いFDを出してきた作品はいっぱいある。

このあおかなにもそんな感じの、こう付け足した感のある無理矢理な話じゃなくて本編をより深められるようなFDを出してほしい。

それが無理だったら最悪みさきちの話だけでもいいのでお願いします、spriteさん!!!
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何か感想とか評価とか題した割にはすごいふわふわした意見ですんませんでした。